阪急電車の中吊り広告を見て、平均年収を考える
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私は以前、宝塚市や西宮市に住んでいたことがあるので、阪急電車には大変お世話になりました。外観が小豆色で、内壁が木目調、座席が緑という配色がおしゃれに感じられて好きだったし、青春時代の様々な思い出の風景の中で必然的に阪急電車が登場してくるということもあります。
その阪急電車が中吊り広告として今月から掲載し、話題になったのが以下のようなもの。(全部で80種類あるらしいのだが、その中で主に話題になったものを2つ)
「毎月50万円もらって毎日生き甲斐のない生活を送るか、
30万円だけど仕事に行くのが楽しみで仕方ないという生活と、どっちがいいか。」
「私たちの目的は、お金を集めることじゃない。
地球上で、いちばんたくさんのありがとうを集めることだ。」
特に話題の対象になったのが1つめのほう。
冷静に考えることができれば、「生きがいの感じられる仕事がしたいよね!」ということが言いたかったのはわかると思うけど、これを”通勤”電車の中で見たときに「30万円すらもらってない自分はどうすりゃいいの?」とカチンときてしまうのも仕方ないところはありますわな。(この文章を書いたのは80代の方とのこと)
【参考】
サラリーマン年収の推移(昭和40年~平成23年)
「年次統計」様より
世帯平均所得は約560万円…世帯あたりの平均所得金額推移をグラフ化してみる(最新) - ガベージニュース より
「平均値、中央値、最頻値とは」
K's Strategy.様 日本人サラリーマンの平均年収の推移と中央値について。 より
「サラリーマンの平均年収は420万円(平成27年)」と言われると月収換算では30万円を少し切る程度になるので、前述の文章もあながち的外れではないようにも思ってしまいます。ところが、”最頻値”つまり「これくらいもらっている人が人数としては一番多い」というところに注目してみれば「300万円台」であり、これを月収換算にしてみると20万円台前半になる場合もあるわけです。次に多いのは400万円台ではなく200万円台です。
そして、当然ながら年齢によって違います。平成29年賃金構造基本統計調査結果によれば、大卒者の平均初任給額は20.6万円、高卒者の平均初任給は17.9万円だそうです。
職種や雇用形態、地域によっても大きく違います。地方で非正規雇用なら月に10万円程度しかもらっていない人もいます。
そういった様々な人々が目にする物だと考えると、数字を盛り込まない文章にしたほうがよかったのかなとは思いますね。
採り上げたもう1つのほうの文章。こちらも「精神論っぽくて共感できない」という意見が寄せられたそうですが、これだけなら「あ、そう。あなたはそう思うのね。」で終わらせることもできるんですけど。
結局阪急電車はこの広告の撤去を決めたそうですが、今朝の『スッキリ』でもう1つ論点になっていたのが「炎上する度に企業は撤回をすべきなのか」ということ。箕輪厚介氏などは「堂々としてりゃいいんですよ」と言っていたけど、阪急も客商売である以上そうもいかないでしょうね。(電車に関しては「阪急ムカつくから、俺は阪神で通勤する!」というわけにはいかないでしょうが、阪急グループとしての事業は多岐に亘りますからね。)
インターネット、SNSの普及によって、一般人の声が広く届くようになったことはある意味健全になったとも言えるけど、企業としては頭の痛い時代になりましたね (^-^;)
おまけ:
この件を受けて、Twitterで流行ったジョーク?の中から1つ紹介します。
こちらのほうが現実をよく表していますねw
現在の世相を反映した正しい表現はこちらになります。#はたらく言葉たち #はたらく言葉たちクソコラグランプリ pic.twitter.com/b6IBzn6VG6
— シトロン (@Citron_dqx) 2019年6月10日